【自動車部品商組合の研修に参加したら自動車整備業の未来は捉えようによっては明るいということがわかった】
先日、自動車部品商の研修があるということで参加しました。
『京都府自動車部品商組合 2025年度第1回研修例会』ということでがっつり研修です。
《テーマ》
「実はこれから儲かる自動車整備業の環境変化について」
《講師》
株式会社ブロードリーフ 企画グループ 渡邉様
私は約20年自動車部品商の業務に携わっています。
今回の研修(講演みたいな感じで聞きやすかったです)で私なりに感じたことがあったので書き留めておきたいと思います。
自動車整備業における現在の不安と未来の不安
自動車整備業は時代の流れに沿って主に「現在」と「未来」で下記のような不安を感じていることが思い浮かびます。
「現在」の不安
- 経費(物価)の高騰
- 慢性的な人手不足
- 法改正
- 車両の高度化
- 少子高齢化、若者の車離れ
- ディーラーによる顧客の囲い込み
「未来」の不安
- 後継者不足
- 慢性的な人手不足
- 新規顧客の獲得
- 収益確保
- 自動車の進化についていけるか
- 設備、工具の充実
- 自動車の自動化
- 整備技術の取得
➡参加されていた自動車部品商の意見としてもネガティブ思考の人が多かったです。
今、整備工場は忙しい
とはいえ、今、整備工場は忙しいんです。
それはなぜか?
はたらき方改革
1つ目の要因はコロナ渦に開始された「はたらき方改革」か関係しています。
時間外労働の上限規制のわかりやすい解説
安部さんが遺していったはたらき方改革。
これまでの自動車整備業に大きく影響したのは「労働時間」でした。
月45時間の残業を年間6か月超えると罰則の対象になることから企業は対応せざるを得ない状況となり、ディーラーが対応をはじめます。
残業時間に時間をとっていた整備やメンテナンスパックは対応できなくなってしまい労働時間の影響を受けにくい整備工場へ流れているとのことでした。
需要と供給のバランス
2つ目の要因は自動車と整備工場の「バランス」です。
整備工場は先に書いたような内容により廃業・閉業しているのも現実です。
そして人手不足は深刻でこの先待っていても改善しないのは明確でしょう。
ですが自動車は減っていませんからどこかの整備工場に修理を依頼するしかありません。
いま、受け入れ可能な整備工場が少なくなっているということです。
メーカー専用と汎用のギャップ
自動車整備にはスキャンツールが必要です。
ディーラーの持つメーカー専用スキャンツールと整備工場が購入する汎用スキャンツールのデータ内容に大きくギャップが生じていました。
そのためディーラーへ持ち込まざるを得ない修理案件が存在し、整備工場がデータや情報を取得することが困難となっています。
そこで、国交省は未来の自動車整備のために有料で情報を出す組織をつくる予定とのことでした。(国としては車検でかなりの税金を納めてもらっているので力を入れたい事業desuyone...)
→部品商としては整備工場に聞く耳を持ってもらうためにこのような情報の提供を欠かさないことが重要ですよね。
整備工場をバックアップする法改正
自動車メーカーは整備工場に対して整備マニュアルや純正スキャンツールを提供することが義務付けられました。
自動車メーカーが提供しなければならないもの
整備要領書:原則、ディーラーに提供している情報と同じもの
→バンパーの脱着だけでも電子制御装置整備扱いとなり必ず整備工場も必要
OBD車検
事故車やエアロ組付け、エラー表示点灯の対応は必至
3年後、対象車の車検増が予想されています。
まだ一定の整備工場は下記のような考えを持っていないでしょうか?
部品が壊れない=儲からない
スキャンツールを使用する=面倒くさい
OBD車検ができるのは認証工場のみ。
全国での電子制御装置整備ができる認証工場は約50%にとどまっています。
→電子制御装置整備ができる認証工場の普及についても政府は力をいれています。
政府の取り組み
先に書きましたとおり政府としてもかなり深刻と感じている自動車整備業。
過剰ともいえる取り組みにも見えるところもありますがそれほど守りたいという意思の表れとして受け止めます。
自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン
『自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくり』について | 一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会(JASPA)
自動車整備業界では、現在、少子高齢化や働き方の多様化等により人材不足が大きな課題となっております。整備事業を健全に経営していくためには、収益を上げることはもちろん重要ですが、働く人材がいなければ、そもそも経営が成り立ちません。
また、人材確保が困難となっている現状では、新規採用が出来ないことも考えられますが、その場合は、いま働いている従業員で業務を行う必要があるため、生産性の向上も求められるところです。
今後、適切に人材を確保していくためにも、また、いま働く従業員を離職させないためにも、働きやすい職場環境を整えることは、非常に重要となっております。
このような状況において、国土交通省では、令和6年3月に「自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン」を策定・公表されました。
2025年度スキャンツールや省力化に対する補助金制度
2025年度もスキャンツールや省力化に対する補助金制度が開始されています。
当初のころよりはかなり緩い制度となっているようで早急にスキャンツールを購入してもらいたいんでしょうね...
【2025年3月から開始!】スキャンツール補助金の基礎知識|2024年度補正予算補助金概要・スキャンツール導入メリットを徹底解説
まとめ
この研修を通して感じたことは2点です。
1つ目は自動車整備整備業は決してネガティブに捉える必要は無いということ。
農業と同様で国を挙げて活性化させたい、守りたい事業なんですから補助や制度をどんどん利用して現代の整備スタイルへ備えていけるのではないかと思います。
部品商としても制度や補助金、部品や業界の情報を提供出来得るアンテナを張っておく必要があると思いますし、仕入れ先様やメーカー様との情報交換も重要だと思っています。
2つ目は『後継者問題が深刻』ということを感じた事がありました。
ある整備工場さんで社長がご高齢でこれからの事業についてネガティブになっており、後継者の方が決済を持たない環境で業務をしているという苦しい状況をお伺いしました。今すぐ行動を起こさないと制度や補助金を利用できる期間を逃してしまうかもしれませんしなにより現状から脱出できません。
こんな状況を部品商としてどうアプローチしたら良いのか...
そんな事を思いながらまとめていました。
これからも部品商の目線からいろんな事を勉強していきたいと思います。
有難う御座いました。