私の仕事は部品商ですということは以前にもお伝えさせてもらっているわけですが、
お客様との交流の中でたくさん学ばせてもらう機会があります。
今回は、輸入車をメインに修理されている整備工場様とのやり取りを記事にさせて頂きます。
FIATパンダの燃料ポンプを交換しようと思ったら合いませんでした【HELLA製の社外品と純正の違いを説明します】
①実際にフューエルポンプを交換したパンダの車両詳細
修理車両は「FIAT ニューパンダ」
型式:ABA-16912
年式:平成22年8月
修理内容は「燃料ポンプ交換」
②部品検索
まずは部品検索。
分解図を出しました。
部品番号を検索。
純正番号:0052057721
純正品番より「社外品」の適合がありましたので社外品を発注、納品しました。
HELLA(ヘラー)製
品番:8TF 358.106-011
③交換中にトラブル発生
無事納品後、連絡が💦
「燃料ポンプがぴったりはまるんですが上蓋部分がズレていてうまくガスケットに被りません」
何事?と思いお客様のもとへ。
実際に取り付けて頂いた状況を確認することにしました。
燃料ポンプは室内のリヤシート下にあります。
ガスケット自体は問題なし。
ぴったり取付口に装着できました。
こちらはもともと現車についていた燃料ポンプです。
取付するとき、位置決めの突起を合わせる為、基本的に中心がズレることはないです。
真上から見るとエメラルドグリーンのガスケットが見えずキッチリ抑えつけられています。
ちなみに現車についていた燃料ポンプの現品番号はこちらでした。
A2C53257951
CAC 51806983
上蓋を裏側から見た画像です。
真ん中の突起部分が位置決めの部分です。
そしてHELLA(ヘラー)製社外品を取り付けた時はこうなります。
あきらかにエメラルドグリーンのガスケット部分が見えてしまっています。
これでは走行中にガソリン漏れの原因になります。
④実寸をノギスで測定
実際にガスケットにかかっていない部分の寸法はどうなのかノギスで測ってみることにしました。
こちら側がガスケットのかからない部分です。
HELLA(ヘラー)製社外品 6.4mm
現車についていた純正 8.1~8.2mm
なんと約2mmの誤差がありました。
これは使い物にならないということで再手配。
もしかすると「HELLA(ヘラー)製社外品の個体差?」という可能性も考え、全く同じものを手配して実際に取り付けてみましたが結果は同じでした。
ですので、「HELLA製の社外品に関しては個体差で違いは無い」ということが解りました(2個しか比べていませんが)
⑤純正にて無事交換完了
お客様には事情を説明し、納期が迫る中お時間を頂き純正品を手配することにしました。
純正品番:0052057721
こちらは取り付け画像が無いんですが、純正部品は問題なく取りつきましたということでした。
(お客様、ご迷惑をおかけしました💦)
⑥なぜHELLA製社外品が取り付かなかったのか考察
さて、
ここからはこのHELLA(ヘラー)製社外品がなぜ取り付かなかったのか?
ということが気になります。
現段階で考えられる問題は次の通りです。
①FIATニューパンダとのマッチングミス
汎用性を持つHELLA製の燃料ポンプはすべての車種に必ずしもベストマッチングするとは限らないとすると、ニューパンダにはマッチしない品番なのではないか?
②製品ロット単位での製造ミス
製造ロット単位で製造された部品の個体差があるとすると、製造ロットによってはマッチしない事案が発生するのではないか?
③製造段階での採寸ミス
これまで製造されている全てのものが製品化の段階で採寸ミスが発生しておりベストマッチしない事案が発生している?
④整備工場側の見解
整備工場側が納品された際、「イタ車の部品とはこういうもの」と判断しそのまま取付しておりクレーム事案は発生していなかった?
現在、仕入れ業者様へクレーム調査を依頼しています。
進展がありましたら追記したいと思います。